労働法 - 第 8 章 - 労働規律、物的責任
第 8 章 労働規律、物的責任
第 1 節 労働規律
第 118 条 労働規律
労働規律は、就業規則における時間、技術および生産経営管理に関する順守すべき規定
である。
第 119 条 就業規則
1.10 名以上の被雇用者を使用する雇用者は、文書による就業規則を所持しなければなら
ない。
2.就業規則の内容は、労働法及び関連するその他の法規に反してはならない。就業規則
は、以下の主な事項を含まなければならない。
a) 勤務時間と休憩時間
b) 職場における秩序
c) 職場における労働安全・労働衛生
d) 雇用者の資産、経営・技術上の秘密、知的所有権の保護
đ) 被雇用者の労働規律違反行為、労働規律処分の形式、物的賠償責任
3. 就業規則を公布する以前に、雇用者は事業所における労働団体の代表組織の意見を聴
取しなければならない。
4. 就業規則は被雇用者に通知され、主な事項は職場における必要な個所に、掲示されな
ければならない。
第 120 条 就業規則の登録
1. 雇用者は、就業規則を労働に関する省レベル国家管理機関に登録しなければならない。
2. 雇用者は、就業規則を公布した日から 10 日以内に、就業規則の登録書類を提出しなけ
ればならない。
3. 就業規則に法律に反する規定がある場合、労働に関する省レベル国家管理機関は、就
業規則登録書類を受理した日から 7 営業日以内に雇用者に通告し、修正・補則および
登録のやり直しを指導する。
第 121 条 就業規則の登録書類
就業規則登録書類は、以下の書類を含む。
1. 就業規則の登録申請書。
2. 労働規律と物的責任に関する規定を記載した雇用者の文書。
3. 事業所の労働組合の代表部による意見書。
4. 就業規則。
第 122 条 就業規則の効力
就業規則は、労働に関する省レベル国家管理機関が、就業規則登録書類を受理した日か
ら 15 日後に発効する。ただし本法第 120 条第 3 項の規定に該当する場合を除く。
第 123 条 労働規律違反行為への処分の原則、処分の手順
1. 労働規律違反行為への処分は、以下の通りに規定される。
a) 雇用者は被雇用者の過失を立証しなければならない。
b) 事業所における労働団体の代表部が参加する必要がある。
c) 被雇用者が出席しなければならず、自己弁護する権利及び弁護士、又は他の者に
弁護を依頼する権利を有する。18 歳未満の場合、両親または法的代表者が参加
する必要がある。
d) 労働規律違反行為の処分は、文書により作成されなければならない。
2. 1 件の労働規律違反行為に対し、複数の労働規律処分を適用してはならない。
3. 被雇用者が同時に複数の労働規律違反行為を行った場合は、最も重い違反行為に対応
する最も重い処分のみが適用される。
4. 次に掲げる期間にある被雇用者に対し、労働規律処分を行ってはならない。
a) 病気・療養休暇中。雇用者の同意を得た休暇中。
b) 逮捕・拘留中。
c) 本法典第 126 条第 1 項で規定された違反行為に対する管轄機関の結論と検証の結
果を待っている期間。
d) 女性被雇用者が妊娠中・出産休暇中。被雇用者が 12 カ月齢未満の子供を養育中。
5. 労働規律に違反した被雇用者が、精神疾患または認識能力ないし自己の行動管理能力
を喪失する、その他の疾患に罹患している場合は、労働規律処分を行わない。
第 124 条 労働規律処分の解消
1. 労働規律処分の解消は、違反行為が発生した日から数えて最大 6 カ月である。違反行
為が雇用者の財政、財産、技術上の秘密・営業上の秘密の漏洩に直接関連する場合、
労働規律処分の解消は最大 12 カ月とする。
2. 第 123 条第 4 項 a、b および c の各号で規定された期間が終了した際、もし労働規律処
分の解消期間が残っている場合は、雇用者は直ちに労働規律処分を行う。もし時効期
間が満了している場合は労働規律処分を行うために時効を延長できる。ただし上記の期
間が終了した日から 60 日を超えてはならない。
第 123 条第 4 項 d 号で規定された期間が終了した際、労働規律処分の解消期間が満了
している場合は、解消期間を延長できる。ただし上記の期間が終了した日から 60 日を
超えてはならない。
3. 労働規律処分の決定は、本条第 1 項および第 2 項で規定する期間内に公布されなけれ
ばならない。
第 125 条 労働規律違反行為への処分の形式
1. 戒告
2. 6 ヶ月を超えない昇給期間の延長、免職
3. 解雇
第 126 条 解雇処分の適用
雇用者は以下の場合に解雇処分を適用できる。
1. 被雇用者が窃盗、汚職、賭博、故意に人を傷つける行為、職場内での麻薬の使用、雇用
者の経営・技術上秘密の漏洩、知的所有権の侵害行為を行い、雇用者の資産、利益に
重大な損害をもたらす行為、または特別重大な損害をもたらす恐れがある行為を行う場
合。
2. 昇給期間延長処分の制裁を受けながら、制裁期間中に再犯した被雇用者、または免職
の制裁処分を受けながら、再犯した被雇用者の場合。
再犯とは、被雇用者が本法第 127 条の規定に基づく処罰を、処分された規律違犯行為の
処分期間が解消しない間に、再び起こす場合である。
3. 被雇用者が正当な理由なしに月に合計 5 日、又は1年に合計 20 日、無断欠勤した場合。
正当な理由があると認められる場合とは、天災、火災、自身または家族が疾病し、認可
を受けている医療機関の承認がある場合、また就業規則に規定されるその他の場合で
ある。
第 127 条 労働規律違反行為への処分の解消、労働規律違反行為への処分期間の短縮
1. 戒告処分を受けた被雇用者は、処分を受けた日より 3 ヶ月後、昇給期間延長の処分を受
けた被雇用者は、処分を受けた日より 6 ヶ月後に、再犯しない場合は処分を解消される。
免職処分の場合は 3 年後、労働規律違反行為を引き続き行なっても、再犯とは認めら
れない。
2. 昇給期間延長の処分を受けた被雇用者が、制裁期間の半分が経過した後、改善を見せ
た場合、雇用者は制裁期間の短縮を検討する。
第 128 条 労働規律処分を行う際の禁止規定
1. 被雇用者の身体・人格への侵害。
2. 労働規律処分に代えて罰金・賃金カットの形式を用いること。
3. 就業規則で規定しない違反行為を行った被雇用者に対して、労働規律処分をすること。
第 129 条 一時業務停止
1.被雇用者の違反内容が複雑であり、被雇用者が業務を継続することにより違反の審理が
困難になると判断した場合、雇用者は被雇用者の業務の執行を一時的に停止する権利
を有する。一時業務停止は、事業所における労働組合の代表組織の意見を聴取した後
に実施できる。
2. 一時業務停止の期間は最高 15 日であり、特別な場合も 90 日を越えてはならない。一時
業務停止の期間中、被雇用者は停止前の賃金の半額について、前払いを受けることが
できる。
一時業務停止期間の終了後、雇用者は被雇用者を業務に復帰させなければならない。
3. 労働規律処分を受ける場合も、被雇用者は前払いの賃金を返済する必要はない。
4. 労働規律処分を受けない場合、雇用者は被雇用者に対して、一時業務停止期間の賃金
を十分に支払わなければならない。
第 2 節 物的責任
第 130 条 損害賠償
1. 雇用者の機器、設備を損壊した場合、または資産に損害をもたらすその他の行為を起し
た被雇用者は、法律に基づいて賠償しなければならない。
被雇用者が起こした損壊が不注意による深刻なものでなく、その地域で適用される政府が
公布した 10 ヶ月分の最低賃金を超えない額の場合、被雇用者は最大で給与 3 ヶ月分
を賠償しなければならず、本法第 101 条第 3 項の規定に基づいて、賃金より毎月控除さ
れる。
2. 被雇用者が、雇用者の機器・設備・財産、あるいは雇用者が引き渡したその他の財産を
紛失、または許可された基準を超えて物資を浪費した場合、市場の時価に基づいて損
害の一部または全部を賠償しなければならない。また、責任に関する契約がある場合は、
契約に基づいて賠償しなければならない。ただし、事前に予想することができない自然
災害・火災・破壊行為・疫病・大事故・事件が発生し、可能な限りあらゆる措置を講じた
にも関わらず克服できなかった場合は、賠償義務はない。
第 131 条 損害賠償処理の原則・手順・手続き
1. 損害賠償額の検討と決定は、被雇用者の過失・実際の損害額・家庭の事情・経歴および
財産に基づかなくてはならない。
2. 損害賠償処理の手順・手続き・時効は、本法第 123 条および第 124 条の規定が適用され
る。
第 132 条 労働規律・物的責任に関する苦情の申し立て
労働規律処分を受けた、業務を停止された、または物的賠償責任に基づき賠償を要求され
た者が、これらを不当と認めた場合、法規に基づいて雇用者・管轄機関に苦情の申し立て
ができる。または法規に基づく手順に従って、労働争議による解決を要求する権利を有する。